記事のアーカイブ

【創世記六章(二)】

2019年12月27日 16:12
1 〈洪水時代の始まり〉   6章9 「これはノアの物語である。」   この言い方は、原初史物語において定式的表現で、次の時代が始まることを示しているようである。原初史物語の作者は「これはノアの物語である」の言い方で、ここから次の時代が始まるということを示した、と言ってよいだろう。   原初史物語の作者は、ここから始まる次の時代を〈洪水時代〉であるとして描く。〈洪水〉は、再々述べてきたように隠喩表現である。〈洪水が起こる〉とは、洪水が生じさせる全てのものの壊滅、それと同じ事態が引き起こされるということ、〈洪水〉はそのことを言う隠喩表現である。   洪水が

偶像礼拝

2019年12月08日 10:30
新聞は天皇の即位について報道。今号は「天皇」のことにふれないわけにはゆかない。そのために次の書を読んだ。赤坂憲雄『象徴天皇という物語』(岩波現代文庫)。多くを教示された。その一部を紹介する。 著者は著名な民俗学者の津田左右吉の立てた論を紹介。それをわたくしの要約で言うと、天皇は日本人の平安を祈りそのために全てを尽くすという意味で日本人の精神を支える柱、この点において日本人には合意がある(著者はこの津田の主張する合意に否を述べている。) 著者はまた著名な倫理哲学者の和辻哲郎の立てた論を紹介。それをわたくしの要約で言うと、天皇は日本人の文化伝統の永年に渡る唯一の体現者、この点において日本人には合意

クリスマス礼拝へのお誘い

2019年12月01日 10:30
12月1日、今日からアドベント(待降節)が始まります。毎日曜日、10時半から11時半まで礼拝を行っています。   今年のクリスマス礼拝は、第4日曜日の12月22日、10時半から行います。メッセージは下田洋一牧師「神我らと共に」。12時から祝会を予定しています。どなたでも礼拝、祝会共にご参加ください。お待ちしております。  

「創世記六章(一)」

2019年11月22日 17:18
1 〈洪水前夜〉   創世記六章から〈洪水物語〉が始まる。   この〈洪水物語〉はそれを始める創世記六章の冒頭で〈洪水の原因〉について述べているようである。   まずはじめに6章2にしるされていることに注目しよう。   6章2 「神の子らは、人の娘たちが美しいのを見て、おのおの選んだ者を妻にした。」   この文章「神の子らは、人の娘たちが美しいのを見て、おのおの選んだ者を妻にした」、これを原文に即して文意を明瞭にしつつ言うと、こういうことのようである。すなわち、〈神の子たちは女性を自分の好みによって自分のものにした。〉   ここに言及

国 籍

2019年11月03日 10:30
このたび「ラクビー」というスポーツをテレビで見て、すばらしいスポーツだとおもいました。すばらしいとおもったのは、日本のチームのメンバーの31名のうち15名が日本人ではなく、多様な民族であるということにもありました。 わたくしは在日外国人の人権を守る運動に参加してきましたが、そこで問題であるとおもわせられたことは「国籍」のことであります。この国の国籍を持たない人は、この国の憲法の保障する基本的人権の外に置かれます。 この国に「国籍法」があります。そこには国籍の取得に極めて難しい条件が定められているのです。国籍を得られないでいる人たちは、基本的人権の外に放置され、苛酷な生活を余儀なくさせられている

創世記五 章

2019年10月11日 16:40
1 〈アダムの系図〉   創世記5章にしるされているのは〈アダムの系図〉である。   ここで問うべきことがある。原初史物語の作者はなにゆえ〈アダムの系図〉という〈系図〉なるものを採用したのか、そしてなにゆえ〈アダムの系図〉を四章と六章の間に位置に置いたのか。   問いの後者についてはすでに述べた。原初史物語はノアから新たな歴史が始まることを物語ることをこれからのテーマとするゆえ、セトからノアへとつないでいる〈アダムの系図〉は採用するに値し、セトについて言及した四章とノアについて言及する六章の間に置いた。   ここで問いの前者について、すなわち〈アダムの系

高校生の訴え

2019年10月06日 10:30
購読する新聞に、国連の場で「気候行動サミット」が開催され、スウェーデンの高校生のグレタ・トウンヘリさんが演説し、その演説の全文が掲載されている。 彼女は国連に集まった工業先進国の指導者たち向かってこう語った、 「人々が苦しみ、死にかけ、生態系全体が崩壊しかけている。私たちは絶望に差し掛かっているのに、あなたたちが話すのは金のことと、永遠の経済成長というおとぎ話しだけ。何ということだ。」 わたくしはこの彼女の演説文章をわたくしへの批判として読むほかなかった。というのは、わたくしは生態環境が崩壊の危機にあることを訴える文章を以前には書いていたが、近年はその訴えをしなくなっているからである。 その原

「永眠者記念礼拝」のご案内

2019年09月21日 17:19
2019年度の『永眠者記念礼拝』は11月10日(日)10:30~11:30です。 メッセージ〈名を呼ぶ〉ご予定下さい。 愛餐会は12:00~13:00

弱 さ

2019年09月15日 10:30
鷲田清一『老いの空白』(岩波現代文庫)から教示されることが多い。今号はその一つを書いてみよう。(以下の文章は同書から教示されたところをわたくしの言い方でとなっている。) 「老いる」ということは「できる」世界から「できない」世界に入ることであると言われ、それは間違いのないところだが、人はその「できない」世界に入ったとき、分かってくることがある。それは「自由」ということについてである。 近代という時代に獲得された自由は自分のことは自分で決定できる自由、すなわち自己決定の自由、また、自分のことは自分で始末をつける自由、すなわち自己管理の自由、さらには、自分のことは自分で責任をもつ自由、すなわち自己責

「創世記四章(2)」

2019年08月14日 09:40
創世記四章(2)   1 〈カインという存在〉   ここで、創世記四章のなかほどにしるされているところも丁寧に読んでおくことにしたい。   4章12 神ヤハウエはカインに言われた、「あなたは地上をさまよい、さすらう者になる。」   この「地上をさまよい、さすらう者になる」は〈土から離れる者になる〉ことを意味する。なぜカインはそうなったのか。   4章11 「あなたが流した弟の血を飲み込んだ土を耕しても、土はあなたのために作    物を産み出すことはない。」   カインがアベルを殺しその血を土に流したため、土は食べ物を産む使命を神ヤハウ
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