国 籍

2019年11月03日 10:30

このたび「ラクビー」というスポーツをテレビで見て、すばらしいスポーツだとおもいました。すばらしいとおもったのは、日本のチームのメンバーの31名のうち15名が日本人ではなく、多様な民族であるということにもありました。

わたくしは在日外国人の人権を守る運動に参加してきましたが、そこで問題であるとおもわせられたことは「国籍」のことであります。この国の国籍を持たない人は、この国の憲法の保障する基本的人権の外に置かれます。

この国に「国籍法」があります。そこには国籍の取得に極めて難しい条件が定められているのです。国籍を得られないでいる人たちは、基本的人権の外に放置され、苛酷な生活を余儀なくさせられているのです。せんだってNHKがETV特集でこの国におけるクルド人家族の苛酷な生活のことを放映していました。

購読する新聞にこうあるのが目に留まりました。ラクビーの場合、チームの正式メンバーになるためには次の4つの条件のうちのいずれかを満たせばよい。

①生まれた地が日本である。②両親または祖父母のうち一人が日本出身である

③日本に3年以上継続して居住している。④日本に通算して10年居住している。  

わたくしは、この国の国籍を得るについて、これと同様のことがなされてゆけば、この国は憲法の保障する基本的人権を真に展開する開かれた社会になってゆくにちがいない、とおもっております。

新約聖書の伝えるところ、最初期のキリスト教会では、洗礼を受けてキリスト教会の一員になるとき、「ユダヤ人ということもなく、ギリシャ人ということもない」と宣言しました。これは人間を民族・人種・文化の相異によって差別する全てのものを無効にする決意の表明でした。これはとりもなおさず「国籍」による人間の差別を無くする決意の表明でもありました。

スポーツを国家の力の見せ場にすることが続いています。これは国籍の壁を作ることになりかねません。このたびラクビーの方々がそうならないようにしているということを新聞の報道で知り、わたくしはいたく共鳴しました。