夏の悪夢

2015年08月02日 10:30

 

私は集団的自衛についての安倍首相の説明が理解できない。

彼はこう言う、日本の存立が危うくなると判断されるときには未だ日本が武力攻撃をうけていなくても日本から先に武力攻撃することができる。

この説明に対し日本の存立が危うくなると判断するとき何が根拠になるのかの問いに、彼はこう言う、いろいろなことを総合的に判断する。

総合的にとはどういうことかの問いには、こう言う、総合的の内容を言うことはできない、日本に武力攻撃してくる相手にこちらの手の内を明かすようなものであり、また国家機密であるから。

要するに安倍首相の集団的自衛についての説明は全て政府に任せよということ。これは戦争が必定となる重大事項について全て政府に任せよと言っていることである。私はこういうことを言う首相を理解することができない。

日本の存立が危うくなると判断し、武力攻撃されていないのにこちらから先に武力攻撃し、これが間違った判断によるものであったとしたら、これは小さな誤りではなく極めて重大な誤りであるが、これを実行した政府は責任がとれるのか、とれるものではないだろう。

国際紛争を武力で解決することはしないとしているのがこの国である。憲法9条にはそれが明記されている。私はこういう憲法の基本の中の基本についてまったく知らぬがごとくに政策を進める首相を理解することができない。

今世紀の初めに起こった米国ニューヨークの世界貿易センターへの自爆航空機の突入事件は、自衛ということについて考えを根本から変えさせるものとなったと言ってよい。

この国は地形からして突如の攻撃に対し防御できないとするのが常識である。この国に散在する原子力発電所への自爆飛行機の突撃、これを全て未然に防御することはできない。

この国の自衛の最上の方法は外交の努力であることは明白。私はこういう常識を考慮せずむしろ逆方向に政策を進める首相を理解することができない。

 夏の暑い日が続いている。寝苦しい夜、悪夢を見ることがある。集団的自衛に関する法案の国会承認がその一つ。もちろんこれはこの夏の悪しき夢で終わらせなければならない。