2019年度までの主任担任教師・下田洋一牧師からの、毎月のおたよりのバックナンバーです。


ももぞのだより

2019年04月30日 16:46

偏見と先入観

こんかいは購読の新聞に掲載の「ヘイトの構造」と題する、斎藤美奈子(文芸評論家)という方の文章を紹介する。 「3月15日、ニュージーランドで起きた銃乱射事件。これはどう見てもヘイトクライム。思い出したのは「ヘイト(憎悪)のピラミッド」だった。ヘイトスピーチ関係の本にはよく出てくる概念で、五層構造のピラミッドは、下から順に①偏見や先入観、②偏見や先入観に基づく行為、③差別行為、④暴力行為、一番上は⑤集団虐殺。「殺せ」「死ね」「叩(たた)き出せ」などのヘイトスピーチを放置したら、やがてヘイトクライム(暴力や虐殺)に発展するという悪夢のような構造である。 逆に言うと、一件の虐殺事件の背後には多くの暴力

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2019年03月22日 10:30

人間であること

新聞の報道を読んで気になるのは国の重要な事項に関し忖度(そんたく)で物事を決めることが続いていることである。 忖度するとは自分なりに考えて他人の気持ちをおしはかること、すなわち、忖度するとは他の人のことを配慮すること、つまり、良いことをすることである。だが、今日、忖度という言葉で言われていることは、そういう良い意味においてではない、むしろその逆である。 自分の上にいる者に気に入ってもらうために、いろいろなことを画策する。たとえば、記録を書き変える、事実を隠す、嘘を突き通す、こういったことをする言葉として使われている。人がこの意味での忖度をするとき、その人から失われるものがある。 この問題に関し

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2019年02月09日 10:30

沖縄の海

沖縄の辺野古の海に土砂が投入され、沖縄の美しい青い海が黒ずんだ色に変わってゆく、その様がテレビの画面に映し出されていた。心痛んだ。テレビ画面で見るだけで心痛むが、これを直に見ている沖縄の方々の痛みは、いかばりであろう。痛みの深さは察するにあまりある。 海が汚されるということで思い起こすのは熊本の水俣の方々のことである。企業の排出した水銀で海が汚染され、悲惨極まりないことが起こった。水俣病を強いられた方がこう言っておられるのを本で読んだことがある。それをしるしておきたい。 海は自分たちの魂が帰ってゆく所。海が汚されるということは魂が帰って行く所が汚されるということ。海が汚されれば、魂の帰ってゆく

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2019年01月11日 10:30

創世記の「箱舟物語」から

「優生思想」と呼ばれているものがあります。この思想は存在してよいものと存在してはいけないものを分け、後者を隔離し消滅させようとするものであります。 この思想を克服し無化することは、聖書を読む者の責務とおもわれますので、今号はこの思想を克服し無化する作業の一環として、聖書の語るところを書いてみることにいたします。  創世記に「箱舟物語」があります。物語は箱舟に乗船したのはノアたちと動物たちであったとしています。つまり、動物たちも乗船したとしています。そうすると、ここにはノアたち人間だけが生き残ればよいとする考えは無い、ここには動物は生き残れなくてもよいとする考えは無い、そう言ってよいかとおもわれ

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2018年12月09日 10:30

共生の社会へ

新聞報道ではこの国の政府は外国人労働者の受け入れを拡大するため入管難民に関わる法を改訂しようとしている。政府の説明では、移民を考えておらず労働力の導入というものである。 移民を考えていないとはどういうことであるか。それは、国籍権は与えない、永住権は与えないということである。ということは、憲法の保障する基本的人権の内に置かない、その外に置くということである。 ということは、その方々が労働力にならないことになってしまった場合、たとえば病気になったり、交通事故に遭遇したりして働けなくなった場合、その方々をそれぞれの国に送り返すことになる。これでは「使い捨て」をするということになる、そういうことではな

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2018年10月07日 10:30

二人の方

今号は今年度のノーベル平和賞を受けた二人の方についてしるす。ひとりはデニ・ムクウエゲさん、いまひとりはナデイア・ムラドさん。新聞に記載された紹介文を転載する。 デニ・ムクウエゲさんはコンゴにて医師として性暴力被害者とされた女性たちの治療に当たり、女性たちへの生活支援や権利回復に尽力。2008年には国連人権賞、14年には欧州連合議会から優れた人権活動をたたえるサハロフ賞を受賞。 ナデイア・ムラドさんはクルド民族少数派のヤジト教徒。2014年に過激派ISに拉致され奴隷の扱いを受けレイプ拷問されたが三ヶ月後に脱出。その後はドイツを拠点にヤジド教徒の救済活動。16年に人身売買の被害者の尊厳を訴える国連

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2018年09月02日 10:30

今年の8月はひどく暑かった。水をたくさん飲んだ。安心して水をこんなにたくさん飲むことができることに感謝した。 「水」は聖書において主題。早くも聖書の初めの創世記1章1節に登場。そこにこうしるされている、「地は混沌であって、闇が深淵の面にあり、神の霊が水の面を動いていた。」 ここの水は「地は混沌であって」の原因として登場。「混沌」とは全壊滅の様をさす。ここの水は地の全壊滅の原因として登場している。 さらにこうしるされている、「神の霊が水の面を動いていた。」この「動いていた」は「制御していた」の意味に解せられる。ここにしるされていることは、神の霊が地の全壊滅の原因となる水を制御していたということ。

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2018年08月13日 10:30

語り部

本年も「広島原爆の日」「長崎原爆の日」の式典の新聞報道を心して読んだ。その感想を書き留めておきたい。 購読する東京新聞の8月6日夕刊の紙面トップの見出しは「歴史を忘れた時 重大な過ちを犯す」。写真は広島原爆の日の式典で「平和への誓い」を朗読した広島市の小学校六年生二人がそれを朗読する場面。 まず書き留めておきたいことは、誓いの初めにある文章。そこにはこうある、「原子爆弾の投下によって、街は焼け、たくさんの命が奪われました。『助けて』と、泣き叫びながら倒れている子ども。『うちの息子はどこ』と、捜し続けるお父さんやお母さん。『骨をもいでください』と頼む人は、皮膚が垂れ下がり、腕の肉がない姿でした。

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2018年07月01日 10:30

居 場 所

報道によれば、過日の豪雨は多くの人の命を奪い、人の居場所の家を奪った。報道に接し心痛む。この方々の心に癒しが与えられ、奪われた居場所の家が一日も早く再建されることを願うばかりである。 この国ではここのところたてつづけに人の命が奪われ、人の居場所である家が奪われることが起っている。七年前の東日本の大地震・原発破壊、さらにさかのぼれば阪神淡路の大震災において多くの人の命が奪われ、人の居場所の家が奪われた。この問題がこの国における優先して取り組まれなければならない課題であると言わなければならない。 ところで、人が居場所を失うのは、いま言及したような大災害によって住んでいた家を失ったとき生じるが、視野

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2018年06月17日 10:30

今、教団のなすべきこと

 かつてわたしたちの日本基督教団は隣国の教会に神社参拝を強要しました。この神社参拝は天皇を神として崇拝することでした。 隣国のキリスト教徒は神ではないものの崇拝を強要するこの神社参拝を拒否しました。 この国日本の官憲は隣国のキリスト教徒を捕縛しました。隣国のキリスト教徒は獄中で拷問を受け殺されました。 日本基督教団はこの歴史の事実と向き合ってきませんでした。この歴史の事実を知る学習をしないできてしまいました。 この罪過を犯した日本基督教団は北朝鮮のキリスト教徒たちに対していまだ謝罪しておりません。 日本基督教団は「戦争責任告白」を50年前になしておりますが、これですべてを済ませるわけ

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